9日に起きた火災の原因調査のため停止作業に入っている米子バイオマス発電所(米子市大篠津町)について、米子市の伊木隆司市長が12日、5月以降の相次ぐ火災で住民に大きな不安を与えているとし、原因究明や住民説明を終えるまで運転しないよう、運営会社の米子バイオマス発電(同)に申し入れた。同社の足利司所長は、住民理解が得られるまで運転は再開しない考えを示した。
同発電所は2022年4月に営業運転を始めた、出力5万5千キロワットの山陰両県最大規模のバイオマス発電施設。5月17、20日に燃料の木質チップの貯留槽で火災があったのに続き、7月23日にはボイラーの部品が破損し、火花が出る事故が発生。9日は、木質チップを積んできたトレーラーから荷を受け取る「燃料受け入れ建屋」で爆発を伴う火災があった。
試運転段階から騒音問題が起こった経緯もあり、度重なる火災に地元は神経をとがらせる。近くの友森一博さん(70)は「今後どんなことが起こるか分からず不安」と話し、長谷川勝さん(69)は「説明が不足しているのが一番大きな不満」と訴える。
こうした状況を踏まえ、伊木市長は、市役所で足利所長に対し「住民の皆さんに大きな不安を与えていることは誠に遺憾。誠実な対応を求める」とし、当面の運転停止を求める申し入れ書を手渡した。
足利所長によると、発電所は11日夕まで稼働し貯留槽内の燃料を減らした上で、約2週間の停止作業を開始。ボイラーの放冷、残る約6千トンの燃料の取り出しを終えた後で行う原因調査は、最低でも3カ月以上かかるという。
申し入れに対し、同所長は「地域にご迷惑をおかけして大変申し訳ない」と陳謝し、運転再開は、原因を究明し、住民理解が得られるまでしないと明言。月内に大篠津、和田、崎津の3地区で住民説明会を開く考えを示した。
(中村和磨)













