河合雅雄さんは、いつもパイプをくゆらせ、小さな目を一段と細くしてほほえみながら、ぼくたち学生が生意気な議論を戦わせているのを、うれしそうに横で眺めていた。

 ぼくは大学院の修士課程を、河合さんの指導下で過ごした。最後の弟子のひとりになる。京大の霊長類学・人類学界隈...