最新テクノロジーの医療分野への応用が進んでいる。人工知能(AI)は発病前に病気の兆候を見つけ、適切な予防・治療方法を提案する。離れた場所からの医療も可能になった。急速に変わりつつある医療現場を追った。

■画像診断 0.4秒で大腸がん確認

 「ピピー、ピピー」。内視鏡が大腸の内側を映し出すと、突然大きな警告音が鳴った。画面には「腫瘍の確率89%」の表示。内視鏡カメラを患部に近づけ、約500倍まで拡大すると、血管や細胞の内部まで詳細に見える。AIは瞬時に「悪性の可能性68%」とはじき出した。かかった時間はわずか0.4秒だった。

 「これは手術が必要だな」。昭和大学横浜市北部病院の工藤進英消化器センター長は検査映像を見ながらつぶやいた。工藤氏は、内視鏡の大腸検査を国内外で約30万例もこなした「神の手」を持つと称される。内視鏡検査は高度な操作技術が要求されるが、新人医師なら...