鳥取県内でJA系スーパーの閉店が相次ぐなど、人口減少や全国チェーン店の進出により、地場スーパーを取り巻く環境は厳しさを増す。その中で松江市郊外にある小さなスーパーが独自の路線で奮闘している。昼時になると駐車場は満車。近所だけでなく、遠方からも買い物客が訪れる。現地を訪れて、人気の秘密を探ってみた。(Sデジ編集部・林李奈)
スーパーは、西法吉町にある「ハロー」。法吉団地のすぐそばで2007年に開店した。平屋の店舗の広さは約132平方メートル(約40坪)。大きめのコンビニエンスストアと同じくらいだ。20台の駐車場を併設している。

訪れたのは特売日の木曜日。午前11時ごろ、続々とスーパーに人が入ってきた。来店者は40人以上。駐車場は満車だった。店先は特売の野菜が並んでおり、店舗に入ると「惣菜コーナー」が目に入ってきた。

唐揚げやあごだしを使った茶わん蒸し、豆腐ドーナツやおでん、お弁当、実演販売のおにぎりなど、多彩なメニューが並ぶ。店内の半分以上のスペースが惣菜コーナーで、すべて店内の手作りだ。来店者は次々とバスケットの中に入れ、二つしかないレジには行列ができた。後ろの厨房では、絶えず従業員が調理の手を動かし、補充に忙しそうだった。

お昼ご飯を購入しに、松江市竹矢町から来たという70代女性は「ここのおでんが大きくて安い」と来店理由を話し、西浜佐陀町から来た福代真澄さん(60)は「今日は家族の昼を買いに来た。ここのお惣菜が好きでよく買いに来る」と手作りのパスタを購入した。
店によると、売り上げの半分以上が惣菜という。店長の田中耕大さん(39)は「小さなスーパーがディスカウントやチェーンのローカルスーパーとの競争に勝つために、ここでしか買うことができない商品に力を入れてきた」と狙いを話した。開店当初は雑貨も置いていたが、今では食品のみ。並べる惣菜の種類は常時、約50種類に及ぶ。

惣菜のおいしさには理由があった。副店長の岩田伸司さん(43)は...