自治会の在り方、どう考える?
自治会の在り方、どう考える?

 読者の皆さんから意見を募り、山陰中央新報とSデジに掲載する「さんコメ!」。「自治会の在り方、どう考える?」にたくさんの投稿をありがとうございました。いただいた全ての投稿と、記者の雑感を掲載しています。(かっこ内はペンネーム。内容は一部要約・編集しています)

 1、わが地区は自治会費だけでなく区費や神社費、教育後援会費、地区自治協会費など、毎月5千円前後を常会に支払っています。年間7万円ほどで、当然のことながら家計がひっ迫しています。
 残念なのは、それぞれの使途が不明ということです。有効活用していただければ良いのですが、住民に何も報告がなく疑心暗鬼につながります。自治会は助け合いの精神があればこそですが、自身の生活そのものを犠牲にしてまで支払うべきではなく、見直しが必要と思います。(しあわせの金のなる木々)

集合住宅

 2、公営住宅に住んで10年以上。町内の役割は順番で回ってくるが、住民の中には病気を持っている人や動けない年配者の方が数人いて、その人たちを外して役員が割り当てられるのでほぼ毎年、何かの役員を受けている。高齢の1人暮らしが多いのは公営住宅ならではのことで仕方ないのかもしれないが、それなら自治会での負担を軽減してほしい。中には小さな子どもを連れたシングルマザーもいて、役員を割り当てられ大変な思いをされている(一般的にひとり親家庭は役員を免除されていると聞く)。家賃が安いから公営住宅に入りたいが町内の役は面倒と、仕方なく家賃の高いアパートで生活する人もいる。自治会も昔のまま続けるのではなく、時代に合わせて簡素化する必要もあるのではないかと思う。

 3、市内中心部を外れると代々そこに住まわれている家庭が多くあります。月末には町内の集まり(集金会)があり、年末には町内役員改選での集まり。その他、季節ごとの行事やイベント。参加しないわけにはいきません。しかし、昔と違い今は皆、外に仕事を持ち、子どもの部活や塾、学校の役員など日々忙しくしている若い世代には、町内の役までは負担が大きいと思う。だから、自治会のない新興住宅地に家を構える人が増えているのではないだろうか? 私もできれば、自治会のないところで煩わしさから離れ、のんびり余生を過ごしたいと思うこの頃です。

 4、自治会には参加し役員も受けているが正直、面倒。昔からいる人が威張って自分の考えを押し付けてきたり、何もしないくせに文句ばかり言う人、役員を受けても何もしないで人任せの人などさまざま。男性は仕事を理由に自治会は奥さん任せの人が多く、集まりは女性ばかりの集会。女性だって仕事をし、家事や育児をし、子どもが学校に行けば学校での役員も。部活や塾の送迎などもあったりして自分の時間など全くない。そこへ持ってきて自治会の役員も。自治会は今の現状を把握して時代に合ったやり方に変えるべき時だと思う。

多くの人でにぎわう盆踊り大会。行事がおっくうという人も少なくない

 5、私は、自治会はあった方が良いと思います。20代半ばから自治会の常会、消防、獅子舞、各種委員会とさまざまな活動に参加してきました。自治会はなくても生きていけます。お金もかかります。やりたい人がやればいいというのも分かります。しかし、現代の社会問題としてつながりの希薄さ、孤独、そういったことが問題になっているのも確かです。アパートでなければ、その土地に住み続けます。顔を合わせ続けるわけですし、自治会に入っていればそういった孤独はなくなります。でも、それは仕事をやめてから大切なことだと気づくことかもしれません。つながりなんていらないと言われれば、それまででしょう。でも、自分は限りある人生の中で近所の人を知らない、話したこともない、亡くなられたことも知らないそんな人生はやっぱりつまらないです。
 自治会の子ども会があります。同じ自治会に所属しているだけでさまざまな年代が集まりバーベキューをしたり、クリスマス会をしたりしています。子どもにもつながりが生まれています。
 人は、人との関係性の中でしか生きられないと思います。助け合うのも人、傷つけ合うのも人、損得で考えると人との付き合いは損かもしれません。だけど、人との付き合いの中で、喜び合ったり、助け合ったり、時には嫌な思いをしたり、その関係性をつくれるのが自治会かなとも思います。損得なしの横のつながり。それが生きてるってことかなとも思います。
 自治会は必要です。損得で生きるためではなく、人間らしく生きるために必要だと思います。そういった意味で何でもかんでもなくすのではなく、持続力のあるものを、次の世代に必要なことを話し合うことも必要かなと思います。そして時代に合わせて自治会を作っていく。そう思います。(保育士父ちゃん ゆう)

 6、自治会は、防災、地区の環境保全、美観保全の活動を重点にする。自治会費は、防災訓練のときに非常食配布で少し還元する。行政に全てを依存しないよう互助、扶助の活動が機能することを重点とするのが必要だと思います。スポーツも今は個々の活動でいいと思います。(日日是好日 63歳)

 7、私は引っ越し先では自治会に入ってない。以前、苦しかったから。したくないのに強制的な行事・役職・出費が多すぎる。仕事を休んでまで優先させなきゃいけないのはおかしい。同調圧力で自分だけ嫌と言えない風潮だ。近所で不幸があると有給を取って手伝わされた。件数が少ないため1人で何役もやらされた。信仰してない神社のためにお金を使いたくなかった。1番には嫌々出る行事より家族だんらんに時間を使いたかった。自治会に自由参加という概念がなく自分の時間が削られ、何も得がない。そして、市に相談しても自治会に任せているからと全く動いてくれないのも問題だ。入らなくても近所付き合いはあり、災害時には協力できる。排水路とごみ箱の掃除だけ近所と協力してやれば生活に困らないので意義を感じない。(M、50代)

 8、お隣さんとのつながりがなくなってきた昨今、自治会がうっとうしい・煩わしい・他人のことは放っといて干渉しないで…と、お考えの方も多数と思います。最近は地震・台風など災害が多く、有事のときは助け合いが必ず必要! そのためにも、地域のつながりは大切。お荷物! 負担! 邪魔! にならないような自治会は必要であり、現代風にアレンジした気軽な、気楽な運営をするべきだと思います。

 9、今、まさに自治会の運動会の真っ最中です。私は、防災やコミュニケーションのために横のつながりを求めます! 情報共有の在り方は、回覧板以外にメディアを使った方法もありですね~。自治会費から寄付金の振り込みは、多いですね~。寄付を受けた学校などは、有効に使ってほしいです。(やっこ)

民家が立ち並ぶ住宅街。自治会に加入しない世帯も増えている

 10、ほどほどのつながりや付き合いなら良いですが、煩わしいのはつらい。特に定年延長で平日は仕事、休日は地区行事だと自分の時間もなくなる。会費は口座引き落としやLINE送金などで簡単にするなど、時代に合わせた運営に切り替える過渡期かと。私の町は、地区の下に10世帯程度に区切られた組というのがありますが、その区分けが時代遅れに感じます。しかし、80代の長老たちが権力を持っていて、提案すらできない。若い世代が気楽に参加できる新しい自治会を模索したいですね。(ワカコ)

 11、なくてはならない組織でしょうが、役員になった人は任期中、気苦労があり、現職を辞めてまで会長役をするとはあまりにも重荷と思いますが、コロナ禍で各集いの場が省略されたり、気休めを味わった人はたくさんいらっしゃると感じます。市町村や公民館単位でいろいろ活動の場がありますが、競争心のある大会(町民)などはスルーしてほしいです。それより奉仕活動に税金を回しては? 自然界の草木は今から力合わせて手入れをしなくては。運動会より里山林、歩道あたりの環境問題が先手と感じます。

 12、自治会は若い人たちが入りやすい雰囲気をつくり、内容や運営も変えていくことが必要と思います。自治会のつながりは、高齢者が多い地域では災害時などの助け合いのためにも大切です。そのためにも新しく居住する人を地域が温かく受け入れなければ成り立ちません。しかし、古い体質が依然として染み付いて、よそ者を受け入れない状況も耳にします。情けないですが、いまだにあります。誰もが気持ち良く地域で暮らせるように自治会が機能してくれることを願います。

 13、自治会。自分たちの暮らす地域を安全、安心な住みよい地域にするため地域住民によって自主的に運営されている自治組織、とあります。そんな自治会、若い人が入会するならば役員は若い者に、あの人は会に出ないからこの役を押し付けろなどなど…。自治会を否定する気持ちはありませんが、人それぞれいろんな事情を抱えているということ、全て同じ立場ではないということを理解することが大切なのでは? 昔からこのようにしてきてるから、そうしておけばいい! 本当でしょうか。古いシステムの自治会は改革して効率の良い自治会へ。若い人が入会されて、この自治会はいいね! そう感じてもらえたら誰もが幸せだと思います。昔から…と過去にしがみつくのではなく、未来ある若者たちと、入って良かったと思える自治会をつくっていけばいいのでは。若い人の人口流出が止まらない! 自治会集会でいない人の陰口を言ってませんか? 安心できませんよね。面白くないですよね。いろんな意味合いを持って、受け入れ体制を整える時期なのではないでしょうか? 安心、安全な住みよい地域にするため。(赤とんぼ)

清掃活動する住民

 14、最近の若い人は共働きの家庭が多い。土日に自治会の行事に行くのは面倒だと思う。でも子ども会には自治会からお金が出てるので、知らん顔もどうかと思う。街灯などの必要経費は出すべきでは? せめて清掃作業くらいは参加してほしい。コロナ禍もあり、新しい自治会運営を考える時期が来ているのでしょうか。(カルダモン)

 15、災害多発の昨今を考えると必須です。ただ人口減少、低予算化の中で会の目的とそれにあった最低限の事業を常に確認する仕組みが必要だと考えます。70代以上の皆さまのご活躍の場でありつつも、50代以下の声、女性や子どもの声を取り入れていただきたいと思います。

 16、当地に引っ越しして20年以上です。当団地は新しくて自治会組織のないまま本日に至っています。広報などは公民館に取りに行きます。行きそびれると何カ月も読まないこともあります。それで困ったことは一度もありません。地域の方とのつながりがないのはとてもさみしい気持ちです。顔を見たこともない、会っても話をしたことのない人がたくさんいます。自治会がないことで、市民として当然やらなければならないことをやっていないのではないかと気になりながら、日々過ごしています。前の地区では自治会行事がびっしり計画され役員の方の負担は、それはそれは大変なものでした。その分結束力は強かったです。

 17、地区のイベント(例えば体育祭や祭り)は人が集まらない理由で不参加の町内が増えているらしい。ならば、長年の行事を見直して、必要なことだけを残せばいいと思う。ここ数年、災害被害が続いていて、避難訓練はされているが、もっと深い部分まで決めておく必要があると思う。○○歳以上の年配者の数、住所、連絡先、連絡方法。いざ災害が起きた時、自治会長は仕事で不在ということも想定して、では誰が救助に向かうのか、確認するのかなどをあらかじめ決めておく必要を感じている。時代やその時々の状況に応じた自治会の在り方を考える時だと思う。
 

記者雑感

 想像より多くのご意見をいただきました。役員として地域をまとめる大変さ、自治会費として集められたお金の使い道に対する不信感、若い世代を呼び込む方策など、住民としてさまざまな課題を感じていることが伝わってきました。
 記者は石見地方で生まれ育ち、就職をきっかけに松江市に住んでいます。実家では両親や祖父母が地域の清掃活動に参加したり、葬儀の手伝いに出たりしていたので、自治会は身近なものでした。一方、親元を離れてからは賃貸アパートを転々と暮らしており、そういった活動に参加したことがありません。
 子育て世代が自治会活動に知らん顔なのはいかがなものか、という指摘にどきっとしました。まずは子どもを連れて、地域の行事に参加しようと思います。 (担当記者)