事業承継の業務提携契約を結んだ山陰中央新報社の松尾倫男社長(左)とM&Aキャピタルパートナーズ(東京都)の中村悟社長=東京都中央区、M&Aキャピタルパートナーズ
事業承継の業務提携契約を結んだ山陰中央新報社の松尾倫男社長(左)とM&Aキャピタルパートナーズ(東京都)の中村悟社長=東京都中央区、M&Aキャピタルパートナーズ

 山陰中央新報社(松江市殿町)が4日、企業の合併・買収(M&A)の仲介大手M&Aキャピタルパートナーズ(MACP社、東京都中央区)と、山陰両県の中小企業の事業承継推進に向けて業務提携契約を結んだ。新聞社の情報ネットワークとMACP社の専門ノウハウを生かし、後継者難に直面する両県の企業と第三者の企業をマッチングするほか、事業成長につながるM&Aの情報を発信し、地域経済の振興を図る。

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 事業承継は地域の重要課題となっている。帝国データバンクの2022年調査によると、企業の後継者不在率は島根県が全国1位の75・1%、鳥取県が2位の71・5%。後継者難が休廃業を招き、地域経済の衰退が懸念されている。

 課題解決に向け、山陰中央新報社は昨年来、MACP社との連携を強化。M&Aをテーマにしたフォーラムを松江、米子両市で開き、啓発に努めてきた。こうした実績を踏まえ、MACP社はM&Aの普及を目指して全国の新聞社と取り組む「地域共創プロジェクト」の第1弾として提携することにした。

 山陰中央新報社は、第三者への承継に関する相談窓口を社内に設置し、該当企業の承諾を得た上でMACP社に情報提供。専門知識を持つMACP社のスタッフが仲介し、円満な事業承継の成約につなげる。

 両社は本紙や週刊経済誌「山陰経済ウイークリー」でM&Aへの理解を促進する情報、広報を掲載。行政や経済団体と連携したセミナーも催し、認知度向上を図る。

 4日はMACP社の中村悟社長と山陰中央新報社の松尾倫男社長が出席し、東京都中央区のMACP社で調印式があった。

 中村社長は「提携を通し、事業承継に関する悩みを持つ企業の役に立ち、地方創生につなげたい」と抱負を述べた。松尾社長は「後継者不在による廃業は技術の散逸や雇用喪失につながる。社を挙げて取り組み、全国的な展開にしたい」と話した。(石倉俊直)