第三章 宝船(五十二) 「なら、ちょいと頼まれてくれるかえ」  染太夫はおもむろに腰を上げ、隣の座敷の戸襖を引いた。 「これ、引き取って」  毛(もう)氈(せん)を敷き詰めた座敷には...