島根県立大浜田キャンパスの大学祭でコケをPRするメンバーたち=浜田市野原町、同大浜田キャンパス
島根県立大浜田キャンパスの大学祭でコケをPRするメンバーたち=浜田市野原町、同大浜田キャンパス

 地域おこしにつなげようと、浜田市金城町波佐地区の住民有志が、コケ栽培に取り組む生産者グループを立ち上げた。企業や島根県立大浜田キャンパス(浜田市野原町)の学生らと連携してワークショップを開き、メンバーはやりがいを持って取り組んでいる。

 生産者グループ「コケワークスはざ」は、地元の女性住民を中心に15人が所属し、今年3月に結成した。市内で再生可能エネルギー発電の管理運営を行うグリーンパワーインベストメント(東京都)の協力を得て、構想期間5年を経て活動を開始した。

 メンバーは、月2回程度集まって栽培に取り組む。コケの乱獲を防ぐため主に同社の太陽光発電所敷地内に自生するハイゴケを採取し、縦35センチ、横50センチのトレーに敷き詰めて日陰で育てる。波佐地区は谷あいにあり寒暖差が激しいためコケの生育に適しており、湿度管理や雑草除去といった少しの手間で育つという。

 成長したコケは、観光客向けのコケ玉作り教室などで活用する。地区でフィールドワークを行う県立大豊田知世准教授のゼミ生も活動に加わり、今夏は学生がグループを紹介するフリーペーパーを製作して市内で配布した。10月上旬にあった大学祭にも模擬店を共同出店し、テラリウム商品を販売した。

 手入れが簡単なため、地区内の高齢者などを誘い生産者の輪を広げるのが今後の目標だ。中心メンバーの隅田静子さん(73)は、集まりが生活の張り合いになっているとし「さらに栽培技術を確立し仲間を増やしたい」と意気込んだ。(中村成美)