亡くなった谷村新司さんは、島根県民会館(松江市殿町)で多くの公演を重ねたほか、2012年の神話博しまねの公式メッセージソング「はじまりの物語」を作詞作曲するなど島根との縁が深かった。
「大スターなのにとてもフレンドリー。島根の歴史や県民性を愛し、発信してもらった」。県副知事や部長として谷村さんと関わった小林淳一さん(71)は肩を落とした。
県が谷村さんの事務所に公式メッセージソングの制作を打診した際、島根好きもあって快諾してもらった。「谷村さんらしい、親しみやすい曲を作ってもらった」と残念がった。
下積み時代に島根県民会館の中ホールで歌った谷村さん。09年に「アリス」のメンバーと同館で公演した際に「30年以上前にタイムスリップしたようだ」と述べ、会場を沸かせた。同館によると、谷村さんは県民会館で最も公演回数が多いアーティストという。
リハーサルで、一緒に歌う合唱クラブの子どもたちに冗談を言って緊張をほぐしたり、曲と曲の間のおしゃべりで「新司」と「宍道湖」を掛けて「ここには僕の湖があるからね」と会場を和ませたりしたという。
チケットの発売日前夜から県民会館に泊まり込みで並ぶファンも少なくなかった。仲西透総務広報課長(50)は「偉ぶることなく、何度も公演していただいた。非常に残念だ」と惜しんだ。
(曽田元気)