隠岐島後三大祭りの一つで島根県無形民俗文化財「隠岐武良(むら)祭(まつり)風流(ふりゅう)」が19日、同県隠岐の島町中村地区でコロナ禍を経て4年ぶりに営まれた。二つの神社から陰と陽のご神体が運ばれて合流する珍しい大祭。多くの住民が800年以上の歴史を誇る祭礼を見守った。
地区にある計28社の神々が集まる大祭は、鎌倉時代の武将佐々木定綱が隠岐国守護になった際、五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を祈願するため、本領だった近江国から日神と月神を勧請し、日月陰陽和合の祭事を始めたのが起源と伝わる。2年に1度あるが、新型コロナウイルスの影響で2021年は中止となっていた。
地区にある八王子神社と一之森神社では朝から神事が営まれ、長竿(ながざお)に飾られた日神の金のカラスと月神の銀のウサギが彫刻されたご神体を中心に、それぞれ100人以上の正装した住民が合流地点の町立北小学校を目指した。
学校前にある唐傘(からかさ)の松を中心に二つの行列が3周半し、若い男衆が「ヘンヨー」のかけ声とともに太鼓をたたく陰陽胴打ちを披露した。
神事には甲冑(かっちゅう)姿の武者や中学生の巫女(みこ)が舞い、小中学生男子による神相撲(こずま)が披露されたほか、騎馬や流鏑馬(やぶさめ)もあった。
一之森神社の総代、稲葉良一さん(75)は「4年の空白はあったが、天気に恵まれて多くのお客さんが来ていい祭りができた」と喜んだ。(鎌田剛)