大久保長安にまつわる史料を紹介する倉恒康一専門研究員=大田市大森町、石見銀山世界遺産センター
大久保長安にまつわる史料を紹介する倉恒康一専門研究員=大田市大森町、石見銀山世界遺産センター

 石見銀山世界遺産センター(大田市大森町)で、秋季企画展「大久保長安と石見銀山-徳川家康を支えた天下の総代官」が開かれている。鉱山開発を成功に導いた石見銀山奉行・大久保長安(1545~1613年)の没後410年に合わせ、江戸幕府が最初に製造した銀貨や関連する書状の二十数点を並べ、大久保の功績を紹介している。11月27日まで。

 大久保は、徳川家康が関ケ原の戦い(1600年)で勝利し、石見銀山を直轄地にした1601年に初代石見銀山奉行に就任。以前支配した毛利氏が鉱山経営を特定の有力者に委ねたのに対し、大久保は間歩(まぶ)(坑道)の経営者を直接幕府が支配するよう改めた。鉱脈探査をはじめとする費用回収が難しい事業は幕府が積極的に資金を投入し、産出量を飛躍的に伸ばしたとされる。

 企画展は、江戸幕府が最初に製造した1・5センチ大の銀貨「慶長豆板銀(けいちょうまめいたぎん)」や大久保が現地に向けて指示を出した書状、大久保の側室だったとされる「おはな」にまつわる古文書を展示。銀山奉行以外に多くの重役を務めた大久保の人となりも伝える。

 同センターの倉恒康一専門研究員(43)は「現地には大久保長安ゆかりの場所が多くある。企画展と合わせて巡ってほしい」と話した。

 観覧料は常設展を含め一般310円、小中学生150円。31日は休館し、11月1日から一部を展示替えする。(勝部浩文)