フィリピンの日本人戦犯赦免運動に尽くした安来市出身の画家・加納莞蕾(かんらい、本名・辰夫)の人となりがよく分かった心境だ。これまで関係者の取材で聞いていたが、書籍「邦訳 加納辰夫嘆願書 『加納辰夫文書』より」には本人の心の叫びが垣間見える。驚くのは、運動へのとてつもない入れ込みようだ。
書籍は加納美術振興財団が発刊した。1949年6月から59年12月にかけ、同国大統領ら各国の関係者とやりとりした英文書簡の邦訳で、書簡は返信を合わせ300通を超す。10年半の間に230通という発信数もさることながら、1通の分量もかなり長文の書簡がある。
52年4月28日付のローマ教皇ピオ12世(当時)宛ての書簡は...
残り683文字(全文:986文字)
山陰中央新報IDへの会員登録・ログイン続きを読むには会員登録が必要です
無料会員登録(山陰中央新報IDを取得)すると
付きのデジタル記事が月5本まで読める
ニュースレターで最新情報を受け取れる
プレゼント応募や、お得なクーポンが利用できる