2020年生まれの赤ちゃんは統計開始以降最少の84万832人となった。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1・34。婚姻件数も52万5490組と戦後最少になった。島根県の合計特殊出生率は1・69で沖縄に次ぎ全国2位。鳥取県は1・59で同9位だった。

 新型コロナウイルス流行で結婚、妊娠を避ける男女が増え少子化が加速。21年の出生数は従来推計より10年早く70万人台に落ちることが濃厚だ。このままだと将来の働き手減少、社会保障の担い手不足がさらに深刻となる。近隣アジア諸国も同じ状況に危機感を強める。

 この流れを止めるため、政府、自治体は子どもを産み育てやすい環境を早急に整える政策を具体化しなければならない。

 コロナ禍で母子への感染不安が高まり、立ち会い出産、里帰り出産も難しくなった。行政側は相談態勢強化、里帰りできない人の育児支援、さらには妊婦が感染の不安なく通院でき、感染した場合でも十分なケアの下で出産できる医療体制整備に一層力を注ぐべきだ。

 雇用情勢悪化による解雇や給料カットで経済的余裕を失ったカップルが多いことも出生数減少に響いている。今彼らを支えなければワクチン接種が進んでも出生数回復が難しくなる。政府は困窮世帯に3カ月で最大30万円の支給などを行うが、結婚や出産を後押しする新たな支援に乗り出すべきではないか。

 父親の家事育児参加を促すため、子どもが生まれて8週間以内に計4週分休みを取れるようにする「男性版産休」を盛り込んだ改正育児・介護休業法が成立した。こうした基本的な子育て環境の整備も官民一体で引き続き推進する必要がある。

 出生数最多は第1次ベビーブームの1949年の269万人超。71~74年の第2次ブームも年200万人を超えた。その後減少し2019年に初めて90万人を割り込み、第1次ブーム当時の約3分の1に落ち込んだ。

 移民など国境を越えた人の移動を除けば国の人口増減は出生数と死亡数で決まる。近代以降、母子の栄養、健康状態が改善し乳児死亡率が下がった。そうなれば昔のように子どもを多く産まなくてもいい。医学の進歩で平均寿命は大きく延びた。

 感染症流行という突発要因がなくても「文明の発展」に連れ人口構造が「多産多死」から「少産少死」へ変化する大きな流れにはあらがえない。が、何とかその進行速度は抑えたい。

 一足早く人口減少期に入った日本のみならず中国、韓国も同様だ。コロナ禍に見舞われた20年の中国の合計特殊出生率は1・3と日本を下回り、共産党は16年の「一人っ子政策」廃止に続き第3子まで容認する方針を決めた。韓国も20年の出生数が前年比10%減で初めて人口が自然減になった。出生率は0・84と極端に低い。少子化は東アジア全域で加速している。

 少子高齢化がピークに近づく40年ごろの日本は、不足する就業者の5人に1人が医療・福祉の仕事に取られることが予想される。それに向け日本政府は、介護事業の要員にアジア諸国からの技能実習生を呼び込む。

 一方、アジアの高齢化をビジネスの好機と捉え日本式介護事業を輸出する構想も進む。各国の少子化は東南アジアも巻き込む人材争奪を呼び日本の高齢者介護を揺るがしかねない。出生数急減を何とか乗り越えたい。