軽快な五箇村音頭を披露する中学生ら=島根県隠岐の島町郡、五箇生涯学習センター
軽快な五箇村音頭を披露する中学生ら=島根県隠岐の島町郡、五箇生涯学習センター

 1991年に完成し町村合併で歌われなくなった「五箇村音頭 夢を呼ぶ里」が、約20年ぶりに復活した。島根県隠岐の島町郡の五箇生涯学習センターであった「どんと祭」で住民が踊りを披露し、「シャンシャンシャーン」という軽快な調子に合わせた振り付けを、高齢者が懐かしんだ。

 五箇村音頭は当時の村関係者が「楽しい歌を作りたい」と89年に提唱して公募。地元出身で元隠岐高校校長の安部勝さんの詞が選ばれ、邇摩高校教諭だった米山道雄さんが作曲した。

 「みんなござんせ 隠岐しゃくなげの花の盛りに楽園へ」「燃える夕日のローソク島も」といった五箇の名所や人情を歌い、「シャンシャンシャーンと足拍子」で締めくくる。10番まである長い音頭は、地区の祭りや運動会になると輪になって踊ったという。

 2004年に旧五箇村が合併し隠岐の島町になったことで音頭は廃れたが、5年ぶりとなる祭の目玉にしようと、住民団体の五箇こぞって会(藤田顕利代表)が復活を決意。五箇中学校の3年生や保護者、音頭を知る人たちが音源のカセットテープを見つけ、振り付けを思い出して練習した。

 祭では300人の観客を前に40人のメンバーが輪になって軽快な踊りを見せ、会場から大きな拍手が送られた。同会の池田真理香さん(66)は「念願だった音頭が復活できてうれしい。踊りの伝統が受け継がれていってほしい」と満足そうに話した。(鎌田剛)