安野光雅さんが故郷を思い詠んだ歌の直筆書=島根県津和野町後田、安野光雅美術館
安野光雅さんが故郷を思い詠んだ歌の直筆書=島根県津和野町後田、安野光雅美術館

 だまし絵や旅情あふれる風景画で親しまれ、2020年12月に亡くなった島根県津和野町出身の画家、安野光雅さんの第2期追悼展が同町後田の町立安野光雅美術館で開かれている。代表作の原画のほか、独特の感性や古里への思いがうかがえる和歌の直筆書など123点を並べ、多彩な創作活動を振り返る。9月8日まで。
 同館が開館した01年から書き始めた作品「片想い百人一首」は、子どものころから慣れ親しんだ百人一首をアレンジした。古歌の一部を取り入れる本歌取りの技法を用い、高さ154センチ、幅65センチの和紙に記した歌15首を展示している。
 紀貫之の古歌を取り入れた「友達の家の残りて故郷(ふるさと)は 花ぞむかしの香(か)に匂いける」は、古里に帰ると、思い出のかけらや幼少期に通じる道がたくさん残っていることを表現した。流麗な筆致と同様、安野さんの豊かな感性がにじむ。
 このほか、代表作「繪本(えほん) シェイクスピア劇場」や「旅の絵本」などの原画を展示している。同館の福原京子学芸員(47)は「絵だけでなく、歌でも表現した安野先生の表現力の豊かさや優しさを感じてもらいたい」と話した。
 追悼展は3月12日から22年3月9日まで4期に分けて開かれる。開館時間は午前9時~午後5時で木曜休館。入館料は一般800円、中高生400円、小学生250円。
(石倉俊直)