第五章 飛ぶ鳥(四十三)

 三味線の芸妓が弦をかき鳴らす。

「いよぅ」

 寅蔵は帯から扇子を抜き、しゃっと右の手首を振って開いた。

 若旦那には話さなかったが、お...