松江市役所本庁舎(松江市末次町)の建て替え事業を巡り、住民投票条例の制定を直接請求した市民団体の動きを松浦正敬市長が「権利の乱用」と述べた問題で、松浦市長が団体側に発言の撤回はしないと伝えていたことが30日、分かった。求められていた民意を確認する市民アンケートも実施しないとした。

 松浦市長は、発言の撤回などを求める公開質問状を提出した市民団体「松江市民のための新庁舎建設を求める会」(代表・片岡佳美島根大教授)に対し、28日付で回答書を送った。

 回答書では、団体の直接請求の行為自体は適法で正当なものだと認めつつ、「市民の代表である市議会の意思決定後の住民投票はそれまでの議論、判断を無にすることになりかねない」と強調。

 今月2日に記者団に対して「いろんな手続きが終わってから出されるのは、ある意味で権利の乱用と言ってもいいのではないか」と述べた自身の発言について、「視点を変えて見たときには、そのように考えることもできるという含意で申し上げた」と説明し、発言を撤回する意思はないと明記した。

 このほか、建て替え事業に対する市民の納得と合意が得られたかどうかを把握する必要があるとして、団体が要求した市民アンケートは、パブリックコメント(意見公募)やワークショップなどで出た意見を事業計画に反映しているとして「実施する考えはない」と答えた。

 回答を受け取った片岡代表は取材に対し「市議会での発言を繰り返しているだけだった。市民に寄り添わない態度が改めて明らかになった」と批判した。