飯塚大幸管長(中央)が鳴らす鐘に合わせて祈りをささげる参列者=出雲市小境町、一畑薬師
飯塚大幸管長(中央)が鳴らす鐘に合わせて祈りをささげる参列者=出雲市小境町、一畑薬師

 6434人が亡くなった阪神大震災から29年を迎えた17日、出雲市小境町の一畑薬師で「阪神淡路大震災 慰霊の灯り」があった。参列者13人が参道にある108基の灯籠に明かりをともし、能登半島地震の被災者にも思いをはせながら、祈りをささげた。

 午前4時半から関係者が灯籠に明かりをともし、境内の鐘楼堂で慰霊の鐘を突いた。賛同で一畑薬師の飯塚大幸管長が鳴らす鐘の音に合わせて合掌した。地震発生の午前5時46分と同時に黙とうし、般若心経を唱えた。

 石川県に親戚がいる出雲市上塩冶町の野井かおりさん(37)は初めて参加し「能登半島地震で被災した方がいち早く元の生活に戻ってほしいとの思いも込めた」と話した。2000年の鳥取県西部地震で実家が被災した境港市外江町の会社員長廻政志さん(60)は「平穏は当たり前ではない。震災を忘れない」と追悼した。

 行事は、学生時代に阪神大震災の災害ボランティアに携わった出雲市斐川町沖洲の写真家高嶋敏展さん(51)が代表を務める市民団体と、一畑薬師が17年から毎年開いている。高嶋さんは能登半島地震を念頭に「普段から備えるよう警鐘を鳴らす大切さを感じている」と活動の継続を誓った。
(片山皓平)