1926(大正15)年創業の(株)大正屋醤油店(安来市伯太町東母里、山本善万社長)が開発した「お米から造った純米しょうゆ」が、アレルギーに悩む家庭でも使える調味料として全国各地で好評だ。一般財団法人食品産業センター(東京都)が主催する「2020年度優良ふるさと食品中央コンクール」で最高賞の農林水産大臣賞を受賞。味だけでなく技術面でも高い評価を得ている。
通常のしょうゆは大豆と小麦を使うが、同商品は独自製法で酒かすと米粉で代用して造る。色だけでなく味や香りをできるだけ近づけた。開発にかけた期間は10年。小麦や大豆にアレルギーがある人にもおいしい料理を味わってもらいたいとの思いで、山本周作専務(41)が研究を重ねた。岡山県の酒造会社から一部技術を引き継ぎ、改良しながら、酒かすと米粉を混合乾燥させ、こうじにする独自技術を生み出した。
生産に向けて特殊な機械を導入したほか、消費者のアレルギーに細心の配慮をしようと、通常のしょうゆとは別の専用工場を設けた。昨年11月以降、5万本を仕込んでおり、さらに品質改良を進めた後、週3千本の増産体制を取る方針だ。
今年2月の同コンクールでは、新技術開発部門で受賞した。山本専務は「評価してもらってうれしい。もっともっと本来のしょうゆに近づけたい」と意気込む。
同社はみそへの技術応用を研究しているほか、今後はポン酢など派生商品の開発も目指す。