44手目まで進んだ第73期王将戦7番勝負第3局の初日の最終局面。

 

1日目の対局を終え、封じ手を立会の福崎文吾九段(右)に手渡す菅井竜也八段(左)。奥は藤井聡太王将=大田市、国民宿舎さんべ荘(提供:日本将棋連盟)

 封じ手で手番が回ってきた菅井竜也八段(31)の飛車が動ける場所は3カ所しかない。各所で藤井聡太王将(21)のと金や、角が利き、前方は自分の銀がふさいでいる。

 35手目に意を決し、向かい飛車を右横に1筋、動かした時には飛車の利きは8カ所あった。動かした瞬間に藤井王将が仕掛けた「カウンター攻撃」で、自由度を失った。菅井八段の飛車は今、「飛べない車」となっている。

 守りも菅井玉は美濃囲いの金、銀各1枚に過ぎないのに対し、左美濃に囲んだ藤井玉は金、銀各2枚が働き、堅固である。

 ただ、藤井王将の飛車も息苦しい。頭を抑え込まれ、鳴りを潜めている。そこに菅井八段の言い分もある。

 28日午前9時、注目の封じ手が開封された。菅井八段は45手目、7三歩。藤井王将の飛車に当て、さらに「飛べない車」にした。

(板垣敏郎)

王将戦第3局2日目に臨む菅井竜也八段(左)と藤井聡太王将=大田市、国民宿舎さんべ荘(提供:日本将棋連盟)