第六章 来去来(二十)

 寅蔵は手水(ちょうず)を遣ってから縁側を引き返し、裸足で雪の上に飛び降りた。さすがに冷えが強く、足裏から首筋まで一気に這(は)い上がる。それでも己の思い...