▽短歌 安部歌子選

凍えてる冬の星座にこっそりと誰かが雲の毛布かけてる      松 江 宮本朝陽香

  【評】凍えるような冬の星座、その星座にかかる雲は温かい毛布であってほしい。作者の祈りのような思いも伝わり口語調の詠み方がメルヘンの世界へ誘(いざな)う。

地下(ぢげ)の人いも代官碑守りゆく今日も野菊が手向けてありぬ     江 津 岡  八重

  【評】村の危機を救った代官であろう。今でも地域の人は忘れることなく、その代官の碑を守り続けている。地下、代官碑、野菊、どの言葉からも...