―建物火災から地域住民の命を守る社会的意義の大きな役割を果たしています。

 病院やホテル、商業施設など不特定多数の人が出入りする建物や、迅速な避難が難しい高齢者のいる福祉施設には、消防法に基づいてスプリンクラーや自動火災報知機といった消防用設備の設置に加え、定期的な点検と報告が義務付けられています。

 当協会は、国家資格「消防設備士」でなければ従事できない設備の設置、点検業務を担う島根県内の56社で構成しています。

―全国では悪徳業者によるずさんな点検などの被害報告があります。

 消防用設備は、有事の時に確実に作動するため適切な維持管理が不可欠です。

 それにも関わらず、安価につられて点検を依頼した業者が、実際はきちんと点検を行っていなかったというケースが全国では頻発しています。

 管理を怠った結果は、人々の命を左右します。死亡事故につながった場合、建物関係者が刑事責任を負うこともあります。

―建物管理者、利用者の安心のために取り組まれていることを教えてください。

 協会では、会員事業所に対して点検実績や資格の有無といった細かな項目を厳格に調査し、審査に通った業者をホームページなどで公開しています。

 会員による点検後には緑色の点検済ラベルを貼っています。点検実施者の責任を明確にするのに加え、建物利用者には分かりにくい点検・保守への信頼性を目に見える形で示し、安心して利用していただけるよう努めています。
 

 

―県内の点検状況は増加傾向にありますか。

 法律で義務となっている点検報告の現状は、最新データの2020年3月時点で47.2%です。積極的な啓発活動を重ね、近年は全国平均並みの50%に近づきつつあります。

 一方で半数以上が点検報告を行っていないのも事実です。

 引き続き関係機関と連携を図り実施率向上に努め、「人命に直結する設備」を扱う重大な責任とともに、安全・安心な地域づくりの推進に貢献していきます。

 

 

 国家資格である「消防設備士」は、ショップや福祉施設などを利用する人たちの安全と安心を守るという責任のもと、縁の下の力持ちのような立場で仕事をしています。

 多くの人が当たり前と感じる『安全』を、見えないところで支えている。そんなことに、さり気ない「やりがい」を感じます。

 また、男性職場のイメージですが、女性現場の仕事は殆どが点検業務。女性専用マンションなどが増える中、「気配り女子力」が発揮できる職場です。


 
出雲正樹=島根県益田市出身(68歳)2016年に現職に就任。

 体操競技にこだわり中学から大学まで続けて十字懸垂まで達成。

 音質にこだわりジャズレコードは今でも真空管式アンプで音楽鑑賞。

 肉料理にこだわり包丁10本、フライパン鍋12個、電動スライサーまで買い揃えてシェフ気取り。

 消防設備業にこだわり「安全安心なくして地域の発展なし」が妥協を許さぬ仕事のポリシーです。

(一社)島根県消防設備協会HP