短歌 安部歌子選
凛として近寄り難き気を放ち妻条幅へと筆を走らす 浜 田 木村 孝夫
【評】「条幅」とは書道用の用紙。条幅に向かっている妻の気迫に、作者は圧倒された。思わぬ一面を見た思いがしたであろう。素材の切り取り方、一首の構成にも作者の工夫が見られる。
園児等に年を聞かれて九十と何故か胸張り答えていたり 大 田 柿丸 寿枝
【評】胸を張り九十と答えたあとの一瞬のとまどいが、読む者にも温かく伝わってくる。これからも胸を張って、九十一、九十二と答え続けてほしい。「何故か」に作者の複雑な思いがこ...












