碁盤の目に区切られた水田地帯の直線道路を車で走ると、広大な土地が視界に飛び込んできた。「ここから日本農業の未来像を示すんだ」。大潟村あきたこまち生産者協会会長、涌井徹(75)の鼻息は荒い。協会は米の産直やパック詰めご飯の製造を手がける。涌井自身もこの村で約半世紀、米作りをしてきた。だが、「ここ」はタマネギ畑だ。10メートルを超える木が生い茂る荒れ地を、自らトラクターで切り開いた。

 国内第2の広さを誇る湖だった八郎潟を国策で干拓し、秋田県大潟村が生まれて今年で60年...