粟津則雄の訃報に接し一瞬茫然(ぼうぜん)とした。近いうちに一度伺わなければと思いつつ数年を経てしまった、という取り返しのつかない思いに襲われた。それと、昭和の記憶がまたひとつ持ち去られたという喪失感。

 1960年代のなかば講演に接したことがある。粟津訳のランボー全詩...