緊急事態宣言発令中の公演となり、約1万5千人収容の武道館で入場者数を5千人以下に制限。午後8時に閉幕するため開幕を当初の予定より1時間早めた。
ライブタイトル「send for you(センド・フォー・ユー)」にちなみ、オープニング前の大型モニターには、手紙をつづる3人の姿が映し出された。観客一人一人の座席に置かれた、来場特典の手紙を書いた時の様子だ。
※サウシードッグ 全国ツアー 島根から 2023年1月13、14日 県民会館 先行発売情報も
オープニングは疾走感ある「真昼の月」。続いて「雀(すずめ)ノ欠伸(あくび)」、ベース秋澤和貴さんのプレイが光る「ナイトクルージング」とアップテンポな楽曲でたたみかけた。
入場者数を制限したとは言え、フロアから2階まで見渡す限りの観客。中盤のアコースティックのコーナーでは、ドラムせとゆいかさんが「寝ぐせ」「へっぽこまん」のボーカルを担当。学生時代の思い出話と共に透き通った歌声を聴かせた。
終盤の「ゴーストバスター」では火柱が上がって熱気は最高潮。公演直前に配信リリースした「sugar(シュガー)」の後、石原さんは「今日という日が来るまでは正直不安でした」と胸の内を吐露。「またいずれパンパンの武道館にみんなを連れてくんで、楽しみにしていて」と誓った。
アンコール前には石原さんが地元松江市に帰って撮った映像を上映。「島根は何にもなさ過ぎるから、言葉にするのがうまくなったんかな」と語った石原さんは、映像にも出た「田和山の無人公園」が歌詞にある「いつか」を歌い上げた。アンコール最後の「猫の背」は、いつものライブなら観客と一緒に歌うのだが、感染防止のため声は上げられず、石原さんは「心の声で歌って」と呼び掛けた。 ロックバンドとして夢に見た大舞台だった。新型コロナウイルス禍でさまざまな制限を伴う開催だったが、それでも観客の心をわしづかみにした。
松江市出身のボーカル・ギター石原慎也さん率いる3人組バンド「Saucy Dog(サウシードッグ)」は2月上旬、東京・日本武道館での公演を成功させた。 (鹿島波子)