生業、辞書で調べると「生活を営むための仕事」とある。筆者の勝手な解釈だと、「生業層」は家族経営の小規模事業者で、わずかな従業員しかいないというイメージである。

 典型的なのは個人商店だが、中古のダンプカー1台の土木建設業などもこれに当たるだろう。かつて九州のある離島における事業者数を調べて、その多さに驚いたことがある。生業層が島の経済を支えていることを痛感した。

 筆者は霞が関で、中小企業金融や地域金融にかかわる議論に参画することが幾たびかあったが、議論の目線はそれなりの事業規模の企業に置かれ、遺憾ながら生業層への認識は低いと感じた。

 地方創生の議論ではしばしば「新陳代謝」という言葉が...