新型コロナウイルスワクチンで、一般接種の完了時期が山陰両県の市町村で二極化しそうだ。8月に全希望者への接種完了とする町がある一方、人口の多い市部を中心に完了時期を明示できていない。高齢者と比べて予約率が伸び悩むほか、国からのワクチン供給のめどが立たないからだ。子どもへの働き掛けも課題で、どれだけ接種率を上げられるか、見通せない。 (取材班)
鳥取県日野町は2日現在、高齢者の2回目接種率が87・4%。既に高齢者に限った接種を終え、10日開始の一般接種の準備に入っている。一般接種の予約率は現時点で約6割。町健康福祉課の住田秀樹課長は「高齢者と比べ、格段に低く、予約ペースも遅い」と懸念する。副反応に過敏に反応している20~30代の動きが鈍いと分析し「どう呼び掛けるのか悩む」と話す。
60~64歳の予約を6月30日に始めた鳥取市でも出足が鈍い。市保健医療課の橋本渉参事は、予約開始日に予約枠が埋まった高齢者とは異なり「今回は十分に空きがある」と驚く。「接種希望者がどれだけいるのかが見えない」とニーズの把握と対策に頭を悩ませる。
12歳以上18歳未満の子どもへの働き掛けも課題だ。
雲南市は、夏休み期間に子どもに接種してもらえるよう案内する計画。ただ、市ワクチン接種対策室の野々村達志室長は「プライバシーへの配慮が必要。保護者の監督なしで打つのもよくない」と対応に苦慮する。
何より深刻なのはワクチン供給が見通せないこと。国が推し進めようとした職域接種が滞るなど既に食い違いが生じている。菅義偉首相は一般接種の完了目標を「10~11月」と掲げたものの、各自治体とも計画の立てにくさを口にする。
米子市は、現役世代が接種しやすいよう、8月の集団接種日の一部で、終了時間を午後5時から7時に繰り下げた。9月以降も続ける予定だが、市健康対策課の中本教聖課長は「ワクチンの安定供給が不透明だ」と吐露する。2週間おきに県を通じてワクチンを発注してきたが、6月下旬から国の回答が遅れ始めており「国はしっかりと供給してほしい」と求める。
松江市も、電話が殺到した高齢者接種の改善策としてウェブ予約を促し、コールセンターの回線を従来の2倍の30回線にするなど体制を強化する。ただ、ワクチン配分量は現時点で7月末分までしか見通せず、市新型コロナウイルスワクチン接種実施本部の持田健二事務局次長は「どれほど先まで予約枠を開放するのか悩みどころ」と口にした。












