墓の移転について持ち主に誠意を持って相談すべきだと語る西村光正副住職=島根県隠岐の島町下西、町役場
墓の移転について持ち主に誠意を持って相談すべきだと語る西村光正副住職=島根県隠岐の島町下西、町役場

 島根県隠岐の島町に所有者不明の墓地が増えている状況を受け、墓地の所有権を巡るトラブルをテーマにした有志による研修会が28日、町内であった。実際に墓地移転の調整に当たった山口県下関市の願王寺(がんのうじ)の西村光正副住職(36)が講師となり、墓の所有者との細かいコミュニケーションが大事だと説いた。

 研修会は、隠岐の島町内にある六つの寺社と町、弁護士でつくる「大城墓地環境整備協議会」(新宮貴司会長)が開き、10人が参加した。

 島後の中心部・西郷地区にあり、約1400区画の大城墓地は、協議会の調査によると3分の1以上の約500区画が管理放棄されたと推計できるという。継承者が町内にいないと荒れる恐れがあり、協議会は有効に管理するため、墓の土地を町に寄付するよう呼び掛けている。

 講演で西村副住職は、墓地埋葬法に基づく市の許可を得ずに建てられた墓の所有者を説得し、永代供養や許可された墓地に移す交渉に当たった経験を振り返った。

 墓の持ち主に連絡を取る際、張り紙で相談を持ちかけると効果があるとし「持ち主に寄り添って具体的な方法を提案すれば事態は進む。次世代の継承者も同席させ、当事者意識を持たせるべきだ」と強調した。(鎌田剛)