原子力規制委員会から保安規定の認可を受けた中国電力島根原発2号機=松江市鹿島町片句
原子力規制委員会から保安規定の認可を受けた中国電力島根原発2号機=松江市鹿島町片句
原子力規制委員会から保安規定の認可を受けた中国電力島根原発2号機=松江市鹿島町片句

 中国電力が31日、12月の再稼働を目指す島根原発2号機(松江市鹿島町片句)について、原子力規制委員会から「保安規定」の認可を受けたと発表した。これで新規制基準に基づく再稼働に必要な審査3件が終了した。今後、安全対策工事を進め、規制委による「使用前確認」に合格する必要がある。 (高見維吹)

 中電は10月に完了を目指す安全対策工事と並行して、工事が設計通りに行われたかどうかを点検する「使用前事業者検査」を実施中。秋には重大事故を想定した訓練も実施する。

 再稼働までに平常時の常駐要員を28人から47人、事故時の初期対応要員を74人から101人に増やし体制を強化する。不適切事案の反省を踏まえ、島根原発での取り組みを監視・評価する社長直属の組織(5人程度)を置く。

 保安規定審査を巡っては中電がテロ対策施設に関する機密文書を2015年4月に誤廃棄し、6年間報告していなかった問題を受け、原発を再稼働するのに足る安全文化の定着が焦点だった。規制委は中電の取り組みを確認し、今後も注視する必要があるとの意見が相次いだ。

 中電島根原子力本部の吉川正克広報部長は「再稼働に向けて一つ一つの準備を着実に進める」とした。

 島根県の丸山達也知事は「保安教育や訓練などを適切に行い、安全な運転に向けた能力の向上に努めてもらいたい」、松江市の上定昭仁市長は「引き続き市民の安心・安全を最優先に適切に対応していただきたい」とそれぞれコメントを出した。

 中電は島根2号機の再稼働に向け、13年12月に、安全対策の基本設計を確認する「原子炉設置変更」、詳細な設計を示す「工事計画」、保安規定を規制委に申請。21年9月に原子炉設置変更の許可、23年8月に工事計画の認可を受けていた。