修復を終え、間近で公開された天井絵に見入る特別拝観の参拝者=鳥取県大山町大山、大神山神社奥宮
修復を終え、間近で公開された天井絵に見入る特別拝観の参拝者=鳥取県大山町大山、大神山神社奥宮

 秋の完成を目指し大規模修繕中の国指定重要文化財・大神山(おおがみやま)神社奥宮(鳥取県大山町大山)で8日、屋根のふき替えや修復を終えた天井絵などを間近で見られる特別拝観があった。今回の工事で見つかり、現在の社殿が江戸後期に再建されたことを裏付ける祈祷(きとう)札も公開され、参拝者らが興味深く見入った。

 奥宮は大山中腹に鎮座する山岳信仰の中心地。特別拝観は、約30年ぶりとなる神社の大規模修繕の一部でクラウドファンディング(CF)を活用し、1800万円が集まった「返礼」として企画され、10人余りが参拝した。

 本殿と拝殿をつなぐ「幣殿」の修繕は、スギ材を使った「こけらぶき」の屋根にふき替えた。社殿内では格子状の天井にはめ込まれた花鳥画や人物画など234枚の「天井絵」も取り外して鮮やかに修復。この日は、絵に描かれた動物の毛並みも分かるほど近くで鑑賞できた。柱に施された「白檀(びゃくだん)塗り」の修繕で、漆の下地に銀箔(ぎんぱく)を貼る作業も公開された。

 さらに、これまで棟札の「写し」しかなかった再建の記録が、祈祷札に記された社殿の棟上げの日付により、江戸後期の「1805年」と改めて確認されたとの報告があり、信仰の歴史にそれぞれ思いをはせた。

 一般向け特別拝観も、14日から3日間の日程である。申し込みが必要。問い合わせは同神社、電話0859(27)2345。
 (吉川真人)