【益田】日本吟詩道成道流本部総師主宰の東俊風(しゅんぷう)さん(86)=浜田市長沢町=がこのほど、第2次長州戦争「石州口の戦い」で戦死した浜田藩士・岸静江国治が詠んだ和歌を益田市多田町の墓前で吟じた。
1866(慶応2)年6月16日、幕府軍の関門隊長の岸は長州軍を扇原関門で待ち受けた。部下と農民を逃がし、やりを手に1人で守ろうとしたものの、敵弾を受け仁王立ちで絶命したと伝わる。
東さんは郷土史家・伊藤義照さん(93)=益田市あけぼの本町=の著書「石州口の戦い」に感銘を受けた。知人の広中豊さん(82)=益田市下種町=に岸の功績を詩吟の形で顕彰したいと相談。益田市役所や地元自治会など関係先に話をして実現した。
墓参の後、東さんが「郭公(ほととぎす) 夢なりけりな 初こゑ(え)を 人傳(づて)にだに 聞かでききぬる」という岸静江の和歌を朗々と吟じた。伊藤さん、東さんの弟子2人、地元住民らが聞き入った。
東さんは「岸静江の気持ちに少し近づけたと思う。気持ちよく吟ずることができた。今後も毎年、岸の墓前で吟詠したい」と話した。(中山竜一)













