主審にグラウンド整備にと屋台骨を支える新田紘平さん(左)=浜田市黒川町、市野球場
主審にグラウンド整備にと屋台骨を支える新田紘平さん(左)=浜田市黒川町、市野球場

 浜田市内で体験イベント型の草野球が始まった。月2、3回、土曜の早朝に試合をしており、選手の貸し借りOK、飛び入り歓迎の緩やかな運営。チームに所属しなくても、未経験者1人でも参加でき、プレーそのものを楽しめる。高校野球の強豪校出身の男性が考案した。「本格的にやりたい人にはチームを紹介する。まずは多くの人にプレーしてほしい」と、見るスポーツになりがちな野球の裾野の広がりを期待する。(板垣敏郎)

 男性は焼き鳥店を営む新田紘平さん(35)=浜田市三隅町古市場。ネボーズ、パスタイム、フォーティーズという地元の3チームの賛同を得て、対戦カードを組み替えながら新形式の野球を4月に始めた。午前6時プレーボールで、試合は1時間半。新田さんはいつも主審を務める。

 小中学校の昼休憩に子どもが集まって楽しむ感覚に近い。試合は最低でも両軍計18人が必要だが、ネボーズの名の通り寝坊者続出で計12人だった日も。そんな日は新田さんが捕手兼主審となり、選手の貸し借りで足りない野手を埋め合わせる。飛び入り歓迎で、グラブなど用具は貸し出す。女性打者は「4球三振」などハンディも設ける。

 新田さんは高校野球の名門・広島商(広島市)で取り組み、卒業後に浜田市へ移り住んだ。繁忙で草野球チームの練習に参加できなくなったり、転勤したりして野球を諦めた知人の話を聞くうち、新たな試みの構想が膨らんだ。初心者が野球を始めるのはなおさら難しい状況も想像できた。

 「いずれ大人向けの初心者教室や、ささやかな大会も開きたい」と夢を語る。

 6月26日早朝の試合は10~50代の両軍計20人が集まった。飛び入り参加もありユニホーム、トレーニングウエアといでたちはさまざま。

 2回目の参加という島根県立大4年の中田正宗さん(21)=浜田市天満町=は広島市出身で、広島東洋カープの試合も観戦してきてプレー願望が強かった。「やっと野球ができた。僕のような未経験者は緩い環境じゃないと始められない」と笑顔を見せた。

 参加希望や問い合わせは新田さん、電話0855(22)7629。

 

<メモ> 笹川スポーツ財団(東京都)の調査「スポーツライフ・データ2020」(3千サンプル)では、週1回以上取り組む運動・スポーツとして野球を挙げた回答は、18、19歳で9位にランクされるが、20代以上の全ての年代でベスト10に入っていない。一方、年に1回以上、プロ野球を生観戦した人の割合は9・6%で、2位のサッカー・Jリーグ(3・3%)を大きく引き離し、3位は高校野球の2・8%が続く。プレーするより、見るスポーツとして定着する実態がうかがえる。