【安来】安来市古川町、足立美術館で、100年前の日本画を集めた展覧会が開かれている。100年前は西洋文化の影響を受け、大衆文化も広がりを見せた時代。自由で多彩な大正期の作品を中心に収蔵品から34点が並び、来館者が鑑賞している。
大正期の日本は大衆文化が花開き、新しい価値観が生まれた時代という。日本画壇でも西洋画の手法を取り入れるなど伝統的な表現にとらわれない作品が多く誕生した。
近代日本画の巨匠・横山大観の「鹿ケ谷」は、京都の鹿ケ谷の風景を描き、松と竹の鮮やかな緑青が美しい。
近代京都画壇を代表する竹内栖鳳の六曲一双のびょうぶ「雨霽(うせい)」は、新1万円札の肖像に採用された渋沢栄一から依頼を受けた作品。柳の葉が右から左へ大きく揺れ、柳の枝を強くつかんで耐えるトビから、風の存在を感じさせる。
木村斯光(しこう)の「湯の宿」はもうもうと立ち上がる湯気の中に立つ女性を描く。着物から透ける胸元からは湯上がりの色香が漂う。
8月30日まで。開館時間は午前9時~午後5時半。入館料は大人2300円、大学生1800円、高校生千円、小中学生500円。
(狩野樹理)