道路が冠水しボートで救助される住民=12日午後1時11分、出雲市所原町
道路が冠水しボートで救助される住民=12日午後1時11分、出雲市所原町
道路が冠水しボートで救助される住民=12日午後1時11分、出雲市所原町

 活発化した梅雨前線の影響で、山陰両県は12日未明から猛烈な雨が断続的に降り、各地で道路の冠水やのり面の崩壊が発生した。雲南市と島根県飯南町全域の4万人超に5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が発令され、雲南市の中心部では道路が冠水した。松江、出雲両市など山陰両県計8市町の31万人超にレベル4の「避難指示」が発令され、レベル3の「高齢者等避難」も合わせると、避難が必要なのは計38万人に上った。人的被害は確認されていない。 (曽田元気)

 雲南市は記録的短時間大雨情報が発表され、掛合町で午前11時までの1時間降水量が69・0ミリとなり、観測史上最大を記録した。市中心部を流れる三刀屋川の支流が氾濫し、三刀屋町三刀屋の国道54号など周辺の県道や市道が冠水。一帯の民家も浸水した。午後5時時点で市がまとめた建物被害は半壊・一部破損4棟、床上・床下浸水が30棟以上。

 出雲市によると午後4時50分現在、佐田町朝原で15世帯28人が土砂崩れなどで孤立。所原町では生活道路が冠水し、住民が消防団のボートで救助された。

 住宅の浸水被害は床上浸水が松江市2棟、安来市7棟、境港市4棟。床下浸水は松江市11棟、安来市22棟、境港市6棟。

 避難所は午後4時時点、雲南市で36カ所開設され、740人が身を寄せた。大田市115人、飯南町109人など島根県内で計1256人が避難した。

 国道の全面通行止めは島根県7カ所、鳥取県2カ所。JRは特急、普通列車が軒並み運休し、約1万7千人に影響が出た。

 雲南市と飯南町の緊急安全確保、松江、出雲両市などの避難指示は解除された。雲南市と安来市は午後9時半現在で避難指示が発令中。

 降り始めの4日午後4時から12日午後4時までの雨量は境港で520・0ミリ、倉吉で475・0ミリとなり、7月全体の平年値の2倍超を観測。松江は460・5ミリ、大東(雲南市)は262・0ミリに達した。