隠岐諸島の島後だけで確認されている固有種・オキサンショウウオの遺伝子配列を調べた結果、住む場所によって、遺伝子系統が違う可能性があるとの研究報告を、ホシザキグリーン財団(出雲市園町)の林成多調査研究係長(48)ら4人のグループがまとめた。同じ種類でも多様な個体を育む島の成り立ちを知る上で貴重な発見だと関係者が評価している。
研究は、島後で独自の進化を遂げたオキサンショウウオの遺伝的な多様性を解明するのが目的。隠岐の島町教育委員会の協力で2020年5、6月に、都万や久見など異なる水域の7カ所で幼生1個体ずつを採取して遺伝子配列を調べた。
結果、同じ種での個体の多様性を調べるのに有効な「シトクロムb遺伝子」の塩基配列が7個体とも違っていた。
隔離された場所で、独自の遺伝子を受け継いでいることが伺える結果に、林係長は「島という限定された地域内では、それほど遺伝的多様性は高くないと予想していたが、実際は高かった」と話した。
水生動物の行動生態を研究する島根大生物資源科学部生命科学科の高原輝彦准教授(44)も「オキサンショウウオの遺伝的多様性の解明は高い学術的価値を備えている。島後にのみ生息する種を適切に保全する上で重要な知見になる」と評価した。
研究内容は財団の研究報告第24号(3月発行)で発表した。