暗闇にゆらめく送り火の光を眺める参拝者=松江市外中原町、月照寺
暗闇にゆらめく送り火の光を眺める参拝者=松江市外中原町、月照寺

 江戸時代の松江藩主・松平家の菩提(ぼだい)寺として知られる松江市外中原町の月照寺で15日夜、お盆の恒例行事で石灯籠に火をともす万灯会の送り火があった。参拝者は幻想的な光に照らされた境内を散策し、厳かな雰囲気に浸った。

 月照寺は毎年13日に迎え火、15日に送り火を催しており、送り火の様子を公開する。夕暮れになると、境内の参道沿いに、500基の石灯籠と約千個のろうそくがともされた。日が暮れるにつれ、オレンジ色の光は濃さを増し、暗闇にゆらめいた。

 参拝客は、趣のある光景を楽しみながら、墓前でゆっくりと手を合わせた。

 訪れた松江市立乃木小学校3年の木村瑛さん(9)は「ここだけ世界が違うみたい」と話した。

 松江市は日中の最高気温が32度を超える暑さとなったが、日が落ち優しい光に照らされた境内はスズムシの鳴き声が聞かれ、夏の終わりが近いことを知らせていた。

(佐野翔一)