渡辺拓田さんの作品を紹介する水野智美学芸員=益田市乙吉町、雪舟の郷記念館
渡辺拓田さんの作品を紹介する水野智美学芸員=益田市乙吉町、雪舟の郷記念館

 【益田】益田市出身の書家、故・渡辺拓田さんの初公開作品を並べた企画展が14日、雪舟の郷記念館(乙吉町)で始まった。楷書や象形文字など、さまざまな書体を書き分ける筆さばきと独創的な作風の作品がそろい、来場者を魅了する。10月3日まで。

 渡辺さんは1937年に書の道を志し、書道教育の草分けとして益田市の教育文化活動の発展に貢献。優しく気さくな人柄で親しまれ、92年に亡くなった。現在でも市内の店舗や公民館などで作品を目にすることができる。

 企画展では、個人所有の80年代後半の作品23点を展示。故郷の風景を表現したものや、大好きだったという酒にまつわる作品もある。中でも作品「酒」は48種類の字体で表現し、遊び心を忘れず、楽しみながら書の道を歩んだ様子が読み取れる。

 8月25日からは一部作品の入れ替えを行う予定。水野智美学芸員は「多くの人々に親しまれた拓田先生の優しい人柄を、これまで公開されなかった数多くの書から感じてもらいたい」と話した。

 開館時間は午前9時~午後5時(入館午後4時半まで)。火曜休館。入館料は一般300円、高校生以下100円。  (石倉俊直)