非常に強い台風10号は28日、九州付近を北上した。30日以降に島根県に接近する見込みで、松江地方気象台が注意を促している。7月の大雨で市街地への唯一の県道が崩落した出雲市大社町日御碕地区では、島根県が仮設道路を通行止めにする可能性もあるとして、情報を確認するよう呼びかけている。
松江地方気象台によると、台風はやや勢力を弱めながら中国地方に接近。29日午後から強風になる見込みで、30日を中心に警報級の大雨になる恐れがある。台風の動きが比較的遅いことから、総雨量が多くなる可能性があるとしている。
台風が予報円の中心を通った場合の24時間雨量は、29日午後6時までが島根県東、西部50ミリ、隠岐30ミリ、鳥取県内40ミリ。30日午後6時までが島根県東、西部120ミリ、隠岐80ミリ、鳥取県内100ミリ。31日午後6時までは島根県東、西部150ミリ、隠岐100ミリ、鳥取県内120ミリと予想する。
陸上の最大風速は28日が東部8メートル、西部6メートル、隠岐10メートル。29日は東、西部、隠岐いずれも12メートルとされる。
台風は九州横断後、東進する見込み。速度が遅いことから進路予想の不確実性が大きく、気象台の担当者は「予想が大きく変わる可能性があり、常に最新の情報を確認してほしい」と話した。
島根県によると出雲市大社町日御碕の仮設道路は、被害拡大を防ぐため、時間雨量30ミリ以上または連続雨量150ミリ以上を観測した場合に全面通行止めにする。仮設道路は現在、緊急車両と住民の車両のみ通行可能。通行止めになれば、日御碕地区は実質孤立状態となる。
県出雲県土整備事務所は住民に対し、通行止めの基準や雨量の確認方法を記した文書を配布し、情報を確認するよう呼びかけるほか、日御碕地区側に消防車と救急車を事前に配備した。
県庁であった関係課長会議で丸山達也知事は「台風が接近している間は屋外での作業など不要な外出は控え、危険な場所に近づかないようにお願いしたい」と訴えた。
JR西日本中国統括本部によると、29日は山口線益田-新山口駅間と、山陰線の益田-人丸駅(山口県長門市)間で午後2時以降、運転を取り止める。一畑電車は29日以降に計画運休の可能性がある。空の便は29日の出雲-福岡便の3便が欠航を決めている。