「登呂遺跡」を懐かしむ人も多いだろう。戦後すぐに静岡市で発掘された弥生時代の農村跡だ。争いもなく米作りに励む平和な人々という弥生集落像の原点。「庶民の正倉院」と評価され、約6万平方メートルが国の特別史跡に指定された。修学旅行先として人気を集めた時期もあった。

 現在、遺跡は住宅街の中にある。市立登呂博物館があり、住居や高床倉庫、祭殿の計9棟が復元された。再現した農具で当時の稲作を実証する水田も整備され「実験考古学」の場としても活用されている。

 登呂遺跡は太平洋戦争中の1943年、軍需工場の建設に伴って発見された。47年から本格的な発掘調査が始まる。田園地帯の下に眠る、いにしえの...