大賞に輝いた「曇天」を鑑賞する来館者=浜田市三隅町古市場、石正美術館
大賞に輝いた「曇天」を鑑賞する来館者=浜田市三隅町古市場、石正美術館

 日本画専攻の大学生を対象にした「第9回石本正日本画大賞展」が、浜田市三隅町古市場の石本正美術館で開かれている。日常風景や自身の心象を瑞々しい感性で描いた作品が目を引く。11月24日まで。

 大賞展は、浜田市出身の日本画家・石本正さん(1920~2015年)が愛した若者が生み出す作品の純粋性を継承するのが狙い。全国29大学が寄せた83点から大賞1点、準大賞2点、特別賞2点など計10点が入賞した。

 大賞に輝いた嵯峨美術大(京都府)の北川麗さんの「曇天」は、今にも雨が降りそうな空模様を描いた。輪郭をぼかした家屋や不規則に並ぶ3本の電線からはどんよりした沈んだ気持ちが伝わる。日常風景に作者の心象を重ね重厚感があり、審査員3人全員が大賞に推した。

 準大賞となった武蔵野美術大(東京都)の石禾実紅さんの「早く朝日が昇りますように」や、筑波大(茨城県)の安積明里さんの「跡」なども並ぶ。

 上田優里学芸員は「いずれもレベルが高く、作品から伝わる若い人たちの個性や感性を見てほしい」と話した。入館料は一般700円、高大生300円、小中学生200円。月曜休館(祝日の場合は翌平日)。

 (宮廻裕樹)