短歌 宮里 勝子選

断りの電話掛けるをためらひてスマホを一日握りしめ過ぐ     大 田 福田 道子

  【評】何ごとか請け負ったのち、断らざるを得ない事態となったものの、何とも気が 重い。相手の気持ちをおもんばかり一日中、心をとらわれていた様子が握りしめに表さ れた。原作には一ト日とありましたがトは取りました。

幾年も人の影なき庭先の真白きテツセン青き空へと        出 雲 樋野与々子

  【評】別名クレマチスは茎が細いわりにたくましい花。何年も手入れがなされていな いのに、...