松江市などを走る一畑バス路線の一部が9月30日に廃止されたことを受け、コミュニティバスの代替運行が1日、始まった。運転手不足を背景に地域の足が細る中、当面の代替策が確保された。通勤や通学で利用した乗客は安堵(あんど)感を漂わせたが、運行区間は従来より縮小されており、利便性低下に懸念が口をついた。
廃止したのは御津、大東、荒島の3路線。御津線は松江市が、大東線は同市と雲南市がコミュニティバスの路線を新設した。運行にかかる2024年度の予算は御津線が896万円、大東線が1500万円。JR松江駅やJR荒島駅を結ぶ荒島線は安来市を走る市広域生活バスや松江市営バスで補う。
松江駅や同市鹿島町御津を結んでいた御津線の代替コミュニティバスは平日1日8往復便、区間は御津-春日南で短くなるが、通勤、通学のため始発便は県民会館前まで走る。直通だった松江駅には市営バスへの乗り換えが必要だ。
1日の始発便は計8人の市民が県民会館前まで搭乗。通勤で利用した鹿島町内在住の50代女性は「移動手段が残ったのはよかったが、通勤に時間がかかる」と区間短縮を残念がった。
松江駅やJR出雲大東駅を結んだ大東線の代替コミュニティバスも平日1日7往復便で、JR乃木駅-出雲大東駅に短縮。頻繁に松江市内に向かうという雲南市大東町山田の主婦門脇慶子さん(52)は「乗り換えが大変」と嘆いた。
一畑バスはほかに、松江市内を走るマリンプラザ線をマリンプラザ(島根町)-川津に縮小し、始発のみJR松江駅まで運行。八雲、恵曇、万原、玉造の4路線も減便し、市営バスで補う。
(佐々木一全、山本泰平)