文芸評論家としての功績や保守派論客としての存在感を意識している生徒がそれほど多かったわけではない。ゼミはサロンであるべき、という先生の信条に基づいて、慶応大福田和也研究室は自由でオープンでゆるゆるとした学生の集まりだった。

 私がその扉をたたいたのは2004...