東京パラリンピック・ボート競技のジャマイカ選手の事前合宿を受け入れる米子市が、開始まで半月となった20日になっても実施が決まらず、対応に苦慮する。相手国から明確な連絡がなく、計画は未定のまま。地域では新型コロナウイルスの感染急拡大も重なり、実現が危ぶまれる。

 宿泊や練習施設、交通手段などを盛り込んだ合宿案を2月末までに示し、鳥取県を通じて国際電話やメールでやりとりするが、内容が曖昧だったり、返信が遅かったりして確定できていない。そもそも、ボート競技の出場枠が確保できていないことに加え、「おおらかな国民性も影響しているのでは」と市スポーツ振興課の深田龍課長は察する。

 市内には選手と指導者ら10人が訪れ、錦海ボートコースを拠点に8月10日から12日間の調整を予定。大会組織委員会などへの手続きに2週間程度かかる見込みで、前提となる計画の確定は待ったなしだ。

 直前の合宿中止は関係施設への影響が大きく、キャンセル料が生じる可能性もある。県内では2007、15年の世界陸上で事前合宿の実績があるだけに、県スポーツ振興局の小西慎太郎局長は「相手から回答がなく困っている。受け入れを前提に準備を進めるしかない」と話す。

 県西部では新型コロナの感染が広がる。合宿計画には感染防止策が盛り込んであるが、市スポーツ振興課の担当者は「市内で感染が確認される中、市民の理解が得られるだろうか」と不安は尽きない。

 ジャマイカの事前合宿はパラリンピック陸上選手団が鳥取市で予定。五輪では鳥取、米子両市で計画したが、新型コロナ禍での制約の多さを理由に断念した。

       (取材班)