総合建設業の松江土建(松江市学園南2丁目)が今春、インド北部の湖で水質を改善する気液溶解装置「WEPシステム」の導入に向けた本格調査を始める。国際協力機構(JICA)の事業採択を経て、同機構と今月、装置の設置による効果検証事業の本契約を結んだ。インドで第1号となる装置の稼働へ大きく前進した。
調査場所は、北部のウッタラカンド州にあるビムタール湖で、契約に基づき4月から7カ月間、水質調査を行う。松江土建はリモートシステムを使い現地に指示し、情報を共有する。
その後、早ければ年内にも装置を輸出し、2022年4月から6カ月間の稼働に入る予定で、稼働前後の水質を比較する。効果が実証できれば、JICAが装置を取得し、24年に同州への無償提供を計画している。
装置は貧酸素状態のダム湖などに沈めて高濃度酸素水を作り出すことで、水質悪化の原因となるリンや窒素などの発生を抑える。円筒形で直径1・2メートル、高さ3・7メートル。国立研究開発法人・土木研究所(茨城県つくば市)と04年に共同開発した。国内は8基、海外では中国で5基がそれぞれ採用されている。
インドでは、山陰インド協会の発足に合わせ、13年に当時の駐日インド大使が松江土建を訪れ、装置に関心を示したことがきっかけとなり、導入に向けた取り組みが始まった。17年にJICAの「普及実証事業」に採択され、19年にウッタラカンド州とビムタール湖での実証実験に合意していた。
同社は今回の実績を踏まえ、インドで販売代理店を確保し、設置を広げる考え。事業を担当する環境部の鍛冶正紀統括部長は「インドは水環境ビジネスの有望市場とみている。市場開拓に向け、検証事業を着実に進めたい」と話した。
(松浦光芳)