短歌 宮里 勝子選

施設より「元気でいる」と暑中見舞い昔の兄のそのままの字で   松 江 中山カズ子

  【評】兄と妹のつながりは大人になっても変わらない。コロナ発生により面会時間も 制限がありままならないが、懐かしい字をみて一気に距離が縮む。多くを語らず、下句 の具体が作者の心情を表している。

たっぷりと水を惜しまず墓洗ふ父母の背中と思ふて洗ふ      雲 南 小川 恵子

  【評】一首全体に流れる両親への感謝の心、水を惜しまずや、背中を流す気持ちで洗 うという意志の強さにひかれる。日陰もな...