文部科学省は28日、幼稚園児から高校生まで(5~17歳)の発育や健康の状態を調べる2020年度の学校保健統計調査を発表した。中学3年で肥満傾向のある生徒の割合が前年度より1・46ポイント高い9・64%になるなど、太り気味な児童生徒が増加した。さらに、小中高全ての学年で痩せすぎの生徒が前年度より増えた。裸眼視力「1・0未満」の小中学生の割合は過去最多となった。
中学3年のうち肥満傾向のある生徒の割合は、島根県が7・56%、鳥取県9・34%。痩せすぎに当たる「痩身(そうしん)傾向児」は島根1・89%で、鳥取2・16%だった。
調査は全国の幼稚園と小中高校の健康診断結果を一部抽出して集計。例年は4~6月に実施する健診を基に集計するが、20年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一斉休校で健診時期が遅れた学校が多く、文科省は前年度との単純比較は難しいとしている。ただ、肥満と痩せすぎが増えたことに担当者は「生活習慣の変化や運動不足が影響した可能性がある」と分析した。
身長別標準体重などから算出した肥満度が20%以上の「肥満傾向児」の出現率は、幼稚園と小中高校の大半の学年で前年度より増加。現在の算出方法になった06年度以降は減少か横ばいの傾向だったが、小6(11・38%)や中2(10・40%)などで過去最多となった。男女別で見ると、女子は高1~3年で減少した。
痩身傾向児は、小4が2・08%(前年度比0・48ポイント増)、中3が3・02%(同0・52ポイント増)、高3が3・20%(同1・00ポイント増)。長期的に見ると中高生で上昇傾向にある。
視力1・0未満の割合は小中学生が37・52%と58・29%で、いずれも過去最多を更新し、高校生は63・17%だった。小中高ともに、視力の統計を取り始めた1979年度から悪化傾向が続く。文科省担当者は「スマートフォンなどの普及で、画面を近くで見る機会が多くなったこともあるのではないか」と語る。
文科省はこの調査とは別に、児童生徒の近視の実態調査を進めており、生活習慣との関連を分析する方針という。













