境海上保安部交通課課長 水口康平さん
境海上保安部交通課課長 水口康平さん
開設中の大芦海水浴場で遊ぶ家族=松江市島根町大芦
開設中の大芦海水浴場で遊ぶ家族=松江市島根町大芦
境海上保安部交通課課長 水口康平さん
開設中の大芦海水浴場で遊ぶ家族=松江市島根町大芦

 コロナ禍で2度目の海水浴シーズンを迎えた。密を避け広々とした海へ出掛ける人が増えそうだが、油断は禁物。境海上保安部は、コロナ対策で閉鎖された海水浴場など、安全管理が行き届かない場所では遊泳しないよう呼び掛ける。 (金津理子)

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 境海上保安部によると、昨年に鳥取県内で起きた遊泳中の事故は13件だった。発生場所の内訳は「海水浴場以外」が6件、コロナ対策などで閉鎖された「不開設海水浴場」が5件、「遊泳禁止区域」が2件。開設されている海水浴場内での事故はゼロだった。

 島根県内でも昨年発生した遊泳中の事故8件のうち、6件が海水浴場以外の場所で起きた(第8管区海上保安本部調べ)。

 昨夏は、例年なら開かれる海水浴場がコロナのために閉鎖された事例が多かったことを踏まえ、境海上保安部交通課長の水口康平さん(45)は「不開設の海水浴場で泳ぎ、安全対策が十分でないために事故に遭った可能性がある」と分析。閉鎖中の海水浴場は「遊泳禁止区域がロープや仕切りで明確になっていないなど管理が不十分で、監視員もいないため溺れてもすぐに助けが来ない場合がある」と警告する。

 今夏も島根県内の海水浴場25カ所のうち7カ所、鳥取県内11カ所のうち5カ所が閉鎖された。

 水口さんは「昔から知っている場所だから大丈夫だろうと不開設の海水浴場や遊泳禁止区域で泳いで事故がなかったとしても、それはたまたま遭わなかっただけで大変危険」と指摘。開設中の海水浴場内以外の場所で泳ぐことに警鐘を鳴らす。

 その上で、水難事故の原因の一つ「離岸流」の怖さを強調する。離岸流は、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れで、人が巻き込まれると、岸に向かって泳ごうとしても簡単に沖に流されてしまう。脱出方法として「まずは流れから外れることが大切。流れに沿って戻ろうとしないこと。岸と平行に泳いで流れから抜け出してほしい」とアドバイスする。

 7月下旬には米子市の皆生海岸で男児が溺れて亡くなった。家族連れ向けの注意点として「大人は子どもから目を離さないこと。子どもは、大人の目の届かないところに行かないこと」と説く水口さん。子どもたちには、1人で泳ぎに行かない▽子どもだけで海に行かない―など「海水浴を安全に楽しむための七つの約束」を教えてくれた。